アニサキス食中毒 急増中 県内早くも前年超え
2018年3月16日 中日新聞
魚介は冷凍、加熱を
生の魚介類を食べ、寄生虫「アニサキス」による食中毒になったとの被害報告が県内で増えている。
十四日現在ですでに昨年を超える四件が発生し、全国的にも増加傾向にある。
県や医師は、冷凍してから食べるなどの対策を訴えている。(酒井翔平)
アニサキスは寄生虫の一種で体長二~三センチほど。サバやイワシ、カツオなどの魚介類に寄生する。白い糸のように見えるのが特徴だ。
鮮度が落ちると、内臓から筋肉に移動する。胃壁や腸壁をアニサキスが刺すなどして、激しい腹痛や吐き気などの症状が出る。最悪死に至るケースもある。
県では昨年初めて被害が報告がされ、一年間で三件が発生した。
いずれの被害者も、刺し身やすしなど生魚を食べていた。
全国では、二〇一三年の八十八件から昨年は約二・六倍の二百三十件に増加した。
背景には、一三年に医療機関へアニサキスによる食中毒の届け出が義務化されたことがあるという。
また、昨年には人気お笑い芸人が被害を公表し、世間に知られるようになった。
県生活衛生課の担当者は
「患者の数が増えたというよりも、アニサキスの認知度が上がり、医療機関にかかるケースが増えたのでは」
と話す。
富山大付属病院感染症科の酒巻一平・診療教授は、有効な予防法として冷凍を挙げる。
マイナス二〇度以下で二十四時間以上冷凍すると寄生虫は死ぬという。
新鮮なうちに、内臓を取り除くことも重要だ。万一症状が疑われる場合は、すぐに病院で診察を受けることも勧める。
酒巻診療教授は富山は海の幸に恵まれていることに触れ
「魚を生で食べる機会は多い。調理側は特に注意が必要だ」
と話した。