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マンガンミネラル考(4) 体内分布

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3.3 体内分布と蓄積

 体重70 kgの健常人は体内に12~20 mgのマンガンを有していると推定されている。
 
マンガンは全身各組織に広く分布するが、種々の臓器や組織で特徴的な濃度分布を示す。ただし、種属内、種属間での変動は少ない。
 
一般にマンガンはミトコンドリアが豊富に存在する組織で高濃度に含まれるが、これはマンガンがミトコンドリアに濃縮され易いことを示す。
 
また、マンガンは網膜、結膜色素部、毛髪、皮膚色素沈着部など体内の色素部で高濃度に含まれる。
 
下垂体、膵、肝、腎および骨では通常マンガン濃度は高く、骨格筋では極めて低い。毛髪は比較的高濃度にマンガンを蓄積する。
 
肝のマンガン貯蔵量は限られており、この点、鉄や銅とは対照的である。
 
さらに、新生児肝のマンガン予備貯蔵はヒトを含めて数種の動物で欠如していることが示されている。全年齢の健常人肝のマンガン含有量は約 6~8 ppm(乾燥重量あたり)である。
 
また、他の微量金属と対照的に、マンガンは加齢とともに肺への蓄積を示さない。成人の肺マンガン濃度は平均 0.22 ppmである。

 唯一のマンガン含有金属タンパクで、タンパク分子あたりのマンガン量が常に一定であるのはピルビン酸カルボキシラーゼpyruvate carboxylase)である。ただし、肝のアルギナーゼ(arginase)も必須要素としてマンガンを含んでいるという報告もある。
 
ヒト血清中では、マンガンはほとんど全てβ1-グロブリンに結合している。肝では、マンガンは主としてアルギナーゼ抽出部にあり、大部分がタンパク結合性のものであることを示している。
 

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