スポーツ枠や政治家、低所得者枠、寄付枠、地方枠、芸能人枠など様々な入学形態があっても良いであろう。昔は国立大学でも事務局のお偉方に息子の入学を依頼したと聞く。今でも早大、KOは小中校大一貫枠が多いのではないか。
今でも国立大大学院は社会人枠、自己申告枠など様々な裏口制度を用意している。試験の成績は一部しか評価されていない。大学入試でも帰国子女枠、AO枠などがある。寄付金が多いと経営にも寄与するわけだだから、入試点数のいくらかを加算させても良い。ハーバードなどでもアジア人留学生やJewishばかりを排除させるために白人には社会奉仕枠の点数を付与している。
【経済快説】
裏口入学は「透明化」したらどうか 一般入試と寄付付きの合格者を別々に発表
2018.7.19 ZakZak
文部科学省の佐野太科学技術・学術政策局長が、助成金を支給することの見返りに次男を東京医科大学に入学させたとされる贈収賄案件は、考えさせられる点の多い事件だ。
本人は今のところ容疑を否認しているが、報道通りなら自らが影響力を行使できる補助金を使って、息子の合格を買ったのであるから悪質だ。
この事案の被害者が誰なのかを確認しておきたい。
まず、国のお金がいち官僚の息子の不正入学に使われたのだから、納税者全体が被害者だ。
加えて、試験の成績が足りない受験生が合格したことによって、不合格になった東京医大の受験生がいるはずで、この方は深刻な被害者だ。
また、厳正であるべき入試にあって不正が行われていたことは、不正に入学・卒業したのではない東京医大の学生と卒業生の名誉にとって多大な損害をもたらした。
一方、公的補助金を見返りに入学者を決めたとされる今回は論外だが、私立大学が、寄付金などを理由に入学者を決めることは、どの程度まで認められるべきなのか。
私立大学は私企業であるとはいえ、国から補助金を受け取っている公的な存在なので、入試において試験の成績以外の差別は一切認めるべきではないという考え方はあるだろう。
実際に、そのような方針を徹底することが大学のブランド価値を高める効果もある。
他方、私立大学は私企業なのだから、多額の寄付を行う者の子弟を学生として受け入れてもいいという考え方もあろう。
多額の寄付を行う学生がいると、他の学生にとっては授業料その他の抑制要因になるので、悪いことばかりではない。
日本の大学教育における真の問題は、卒業生の学力にこそあるのだろうが、大学の自主性を重んずる立場からは、国が大学卒業の学力を試験などで判定することは難しい。
東京医大の場合も、いわゆる「裏口入学」であっても医師の国家試験に合格して、所定の単位を取った学生を卒業させないわけにはいくまい。
そう考えた場合でも、大学の受験生に対しては、フェアな条件と情報を与えることが必要だ。
例えば、
「上限○○人までは、××点を△△△△万円の寄付で買うことが可能である」
と事前に発表して入試を行い、入学者についても、一般入試の合格者と寄付付きの合格者を別々に発表するなら、一般入試の合格者にも文句はあるまい。
入試で50点分を3000万円で買って入学したX君は、学校と同級生に貢献したのだから、胸を張って在学し、卒業に足る成績を残したのなら堂々と卒業するといい。
ただし、他の学生に迷惑を掛けないために、入学の経緯は公開すべきだ。裏口入学を全て透明化することがルール化されるべきだ。
(経済評論家・山崎元)