トリクロロエチレンは便利な溶媒であるので化学では多用する。
京大女医の「ハロタンHalothane」肝臓障害(京大女医の麻酔薬事故http://blogs.yahoo.co.jp/blogchemistry/9111721.html)やジクロロメタン胆管がん(http://blogs.yahoo.co.jp/blogchemistry/10283666.html)は知っていたが、腸疾患とも関係するのか?
私も有機溶媒は様々なものを使用してきたので注意せねばなるまい。大学4年生で研究生活に入って初めて使った嫌な臭いの溶媒はジオキサンであった。
有機合成屋の研究室の院生も取り扱いに注意が必要である。
有機溶剤で腸疾患と労災認定
2014年 11月 20日 11:31 JST ロイター
兵庫県明石市の金属加工工場に勤務していた50代の男性が、パイプの洗浄作業に使用していた有機溶剤トリクロロエチレンで腸の疾患を発症したとして、加古川労働基準監督署に労災認定されていたことが20日、分かった。
NPO法人「ひょうご労働安全衛生センター」によると、同じ有機溶剤による同様の疾患が労災認定されるのは全国で2例目。
男性は2011年2月~14年6月、給油機の部品の銅パイプを、トリクロロエチレンで洗浄する作業に従事した。
男性は13年秋から便秘気味になるなど体調を崩し、14年5月に「腸管嚢腫様気腫症」と診断された。
* 腸管嚢胞性気腫症
ガスによる嚢胞が腸壁に多発する稀な疾患です。腸管壊死や呼吸器疾患などに合併するまれな疾患。
金属加工、有機溶剤で腸疾患 明石の男性労災認定
kobe-np.co.jp 2014/11/20 07:15
大阪市の印刷会社の従業員らに有機溶剤が原因とされる胆管がんの発症が相次いだが、兵庫県明石市の金属加工工場に勤務していた男性(56)=同市=が別の有機溶剤で腸疾患を発症し、加古川労働基準監督署から労災認定されていたことが分かった。
大阪市の印刷会社の従業員らに有機溶剤が原因とされる胆管がんの発症が相次いだが、兵庫県明石市の金属加工工場に勤務していた男性(56)=同市=が別の有機溶剤で腸疾患を発症し、加古川労働基準監督署から労災認定されていたことが分かった。
この溶剤による同疾患の認定は全国2例目。専門家は
「労働現場に有機溶剤に対する危機感が薄い」
と指摘している。(宮本万里子)
男性は2011年2月~14年6月、同工場で有機溶剤の一種、トリクロロエチレンの液体や蒸気を使って給湯器部品の銅管の洗浄を担当していた。
トリクロロエチレンは有害物質だが、洗浄機の局所排気装置や発生源を密封する設備はなく、当初の約半年は、防毒マスクすらつけずに洗浄機に頭部を突っ込んで銅管を出し入れしていたという。
腹痛や便秘の症状が現れ、14年5月、腸に気泡状のものが多くできる「腸管嚢腫様気腫症と診断された。
有機溶剤の体への影響を示す男性の尿中クロロ酢酸濃度は、日本産業衛生学会による許容値の1・5~15倍の高さだったという。
男性は、有機溶剤を使った大阪の印刷会社で胆管がんが多発していることを知り、労働組合「あかし地域ユニオン」(明石市)に相談。加古川労基署に労災申請し、10月に給付が認定された。
男性は6月に退職。快方に向かっているが現在も通院中といい、
「仕事で使う溶剤がこれほど危険だとは知らなかった」
と話している。
安全対策が急務 熊谷信二・産業医科大教授(労働環境学)の話
有機溶剤は毒性が強いが、労働現場に危機感が浸透していない。
企業はもちろんのこと、医療機関も含め「労災」という意識を持ち、対策の充実に努めるべきだ。