CO2回収には化学的方法しか考え付かないのですが、他の方法もあるのですね。
今回の三菱のCO2回収は「12年夏以降に回収した約7万5千トンのCO2を地中約3キロに高圧で送り込んで貯留した」という。
石炭火力発電所排ガスからのCO2回収・貯留一貫実証試験施設
mhi.co.jp/news/story/1209145253
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Wiki情報
化学吸収法
二酸化炭素を反応吸収するアミンなどのアルカリ性の溶液を用いて、二酸化炭素を分離・回収する手法。吸収した溶液を加熱してCO2を分離する「再生工程」で消費する熱コストが問題となっている。商業機が既に稼動している。
二酸化炭素を反応吸収するアミンなどのアルカリ性の溶液を用いて、二酸化炭素を分離・回収する手法。吸収した溶液を加熱してCO2を分離する「再生工程」で消費する熱コストが問題となっている。商業機が既に稼動している。
固体化学吸収法
二酸化炭素のみを吸収するような固体に、二酸化炭素を吸収させて分離・回収する手法。固体にはリチウムシリケートや酸化亜鉛などを用いる。
二酸化炭素のみを吸収するような固体に、二酸化炭素を吸収させて分離・回収する手法。固体にはリチウムシリケートや酸化亜鉛などを用いる。
物理吸収法
高圧でメタノール、ポリエチレングリコール等の溶解度を上げた液体に二酸化炭素を物理的に吸収させ、分離・回収する手法。大規模化が比較的容易。化学吸収法に比べて必要な熱量が小さく、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物の影響による吸収液の劣化程度も小さい。
高圧でメタノール、ポリエチレングリコール等の溶解度を上げた液体に二酸化炭素を物理的に吸収させ、分離・回収する手法。大規模化が比較的容易。化学吸収法に比べて必要な熱量が小さく、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物の影響による吸収液の劣化程度も小さい。
物理吸着法
ゼオライト、活性炭、アルミナなどの吸着剤に、二酸化炭素を選択吸着させ、分離・回収する手法。さらに、圧力を変化させて二酸化炭素を選択的に分離・回収を行う方法をPSA法といい、湿度を変化させて行う方法をTSA法という。その双方を組合わせた方式をPTSA法という。日本国内では、電力会社に実施例がある。
膜分離法
セルロースアセテートなどの多孔質の高分子膜にガスを透過させ、透過速度の違いを利用して、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法。プロセスが簡単で運転が容易であるため、将来的には期待できる技術である。二酸化炭素の回収率が低さ、膜材料の耐久性、分離膜が高価なことなどに課題がある。
深冷分離法
ガスを圧縮液化し、蒸留により他の不純物を除去し、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法。液化二酸化炭素としての回収は実用化されている。
酸素燃焼法
二酸化炭素が発生するボイラーや燃焼炉において、支燃ガスに空気ではなく酸素を利用する酸素燃焼が二酸化炭素回収でも利用される。窒素が含まれないため、燃焼後の排ガス中の二酸化炭素成分が大きく、そのまま回収することができるからである。排ガス中の窒素酸化物も抑えられ、硫黄酸化物などの耐久性への影響も考慮する必要がなく、既存の燃焼炉などの改造が容易で、なおかつ燃焼炉の燃焼効率を向上させるなどの特長がある。
貯留
貯留方法としては、大気中へ染み出るリスクが小さい地中の帯水層への封入、地中の油田などに封入することで採掘効率を上げる方法や、河川や海洋への溶解、深海底で水ハイドレートとして沈着させる方法などがある。油田への封入が実用化されているほかは、多くがまだ研究段階にある。
以上のような方法で二酸化炭素を貯留する最大の目的は、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの1つである二酸化炭素の大気中濃度を下げることである。今後世界各国で温室効果ガスの削減目標が課されることになれば、二酸化炭素の貯留によって大量の二酸化炭素排出が削減されるだろうという見方もある。
しかし、貯留に際して、二酸化炭素が十分に封じ込められるのかどうかといった問題、海中への封じ込めの際に急激な上昇流が発生し作業船が転覆するなどの危険性もある。
貯留手法
地中隔離法
炭層固定
炭層固定
石炭に吸着しているメタンをコールベットメタンと呼ぶ。石炭にメタンより二酸化炭素が吸着されやすく、メタンと二酸化炭素が置換される。この性質を利用して、地中の石炭層に二酸化炭素を封入し、メタンを回収する方法。
帯水層貯留
地中の帯水層に高圧の二酸化炭素を封入し、地下水に溶解させるなどして固定・貯留する手法。帯水層中の二酸化炭素は超臨界流体である。長岡で実証実験が行われた。
地中の帯水層に高圧の二酸化炭素を封入し、地下水に溶解させるなどして固定・貯留する手法。帯水層中の二酸化炭素は超臨界流体である。長岡で実証実験が行われた。
油層・ガス層貯留
地中の油層やガス層に二酸化炭素を封入する手法。採取が行われている油層やガス層に封入することで層内の圧力を高めて産出量の増加に利用する「石油増進回収法」(enhanced oil recovery, EOR) と、採取がされていない油層やガス層に封入した後密閉する手法がある。
鉱物固定
二酸化炭素を封入した地層内で反応させ、鉱物化させて固定する手法。蛇紋岩層への固定、高温の岩石への固定などがある。技術的には研究段階にある。
海底下ハイドレート貯留
海底下の孔隙率の高い砂層で、二酸化炭素をハイドレート化(固体)させて貯留する手法。ハイドレート化可能な代表的な温度・圧力は,10℃以下,4.5MPa以上。CO2ハイドレートの生成で地層が閉塞することなく,長期間・安定して注入する技術が検討されている.
海底下の孔隙率の高い砂層で、二酸化炭素をハイドレート化(固体)させて貯留する手法。ハイドレート化可能な代表的な温度・圧力は,10℃以下,4.5MPa以上。CO2ハイドレートの生成で地層が閉塞することなく,長期間・安定して注入する技術が検討されている.
ゲスト分子置換法
ハイドレート格子にメタン分子より二酸化炭素分子の方がトラップされやすい性質を用いて、メタンと置換する方法。米国やドイツで検討されている。米のConocophillips,JOGMECが,2012年にアラスカでField trialを共同で行うと報道されている.
ハイドレート格子にメタン分子より二酸化炭素分子の方がトラップされやすい性質を用いて、メタンと置換する方法。米国やドイツで検討されている。米のConocophillips,JOGMECが,2012年にアラスカでField trialを共同で行うと報道されている.
メタンへの変換
二酸化炭素を、封入した地層内で、メタン菌を利用してメタンにして貯留する手法。技術的には研究段階にある。
二酸化炭素を、封入した地層内で、メタン菌を利用してメタンにして貯留する手法。技術的には研究段階にある。
海洋隔離法
大規模排出源で回収された二酸化炭素を海洋に注入する手法。パイプラインを通して海洋の表層・中層に注入し溶解させる手法と、タンカーなどで輸送して海洋の中層・深層に注入し希釈させる手法とがある。前者では気体または液体、後者では液体として注入する。技術的には研究段階にあるが、パイプライン式はコストが安くなると予想されており、実現性は高いとされている。
海底貯留
大規模排出源で回収された二酸化炭素をタンカーなどで輸送して、深海底に液体として注入し貯留する手法。技術的には研究段階にある。
分解法
プラズマ分解法
二酸化炭素にプラズマを照射し、炭素と一酸化炭素に分離する手法。温室効果ガス削減のためには電源を再生可能エネルギーとする必要がある。
金属と反応させる方法
精製した金属に二酸化炭素を触れさせた後、水素と反応させて炭素として分離する手法。金属にはマグネタイトやマグネシウムを用いる。温室効果ガス削減のためには、水素の精製に際して再生可能エネルギーを用いたり、再生可能な資源を用いることが必要。
メタンを利用する方法
酸化金属に二酸化炭素とメタンを触れさせ、化学反応により炭素と水にして分離する手法。エネルギー効率が悪い。
化石燃料の分離
化石燃料を炭素と水素に分離し、炭素は地中に封入、水素をエネルギーとして利用する手法。エネルギー効率が悪い。
化石燃料を炭素と水素に分離し、炭素は地中に封入、水素をエネルギーとして利用する手法。エネルギー効率が悪い。
三菱重、CO2回収施設を公開 米石炭火力に設置
2013年09月06日 10時10分 京都新聞
三菱重工業が設置したCO2回収実証試験プラントの高さ約70メートルの吸収塔=5日、アラバマ州モビール近郊(共同)
【モビール(米アラバマ州)共同】
三菱重工業は5日、アラバマ州の石炭火力発電所に設置した二酸化炭素(CO2)回収実証試験プラントを日本の報道陣に公開した。
2011年に運転を開始し、12年夏以降に回収した約7万5千トンのCO2を地中約3キロに高圧で送り込んで貯留したとしている。
石炭火力は天然ガス火力より発電量当たりのCO2排出が多く、地球温暖化を加速する懸念がある。
米電力大手サザン・カンパニーのバリー発電所に設置した三菱重工のプラントは、実証プラントとしては世界最大級。排気中のCO2を、高さ約70メートルの吸収塔の内部で特殊な液体を使って回収する。
(共同通信)
二酸化炭素の分離、回収、貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)
火力発電の弱点を補う「二酸化炭素回収」火力発電は高効率で運用しやすいが、化石燃料を使うため、二酸化炭素を大量に排出するという欠点がある。二酸化炭素を大気中に放出しないようにする取り組みが必要だ。
[畑陽一郎,スマートジャパン] 2013年06月14日 16時00分 更新
火力発電は現在の日本の総発電量の約9割をまかなう重要な電源だ。火力発電にはさまざまな長所がある一方、欠点もある。短期的・中期的には燃料費が変動し、次第に高価になっていくことが大きい。長期的には運転時に二酸化炭素(CO2)を大量に排出することが課題だ。人為的に排出される二酸化炭素のうち、約4割が火力発電に由来する。
二酸化炭素の排出量を減らす取り組みでは国内に先進技術が集まっている。火力発電の中でも二酸化炭素の排出量が少ない天然ガス火力を優先することが第1だ。第2に火力発電の高効率化がある。効率が上がるということは、同じ電力を得たとしても排出する二酸化炭素の量が減ることにつながるからだ。
天然ガス火力であれば、単純な汽力発電をコンバインドサイクル発電に置き換えていく。石炭火力であれば、超臨界圧発電や超々臨界圧発電、さらには石炭ガス化複合発電などの技術を取り入れる。いずれも効率を高め燃料から取り出せる電力の量を増やす手法だ。
CCS技術の広がり
だが、これだけでは二酸化炭素の排出量が十分には減らない。そこで第3の取り組みとして、二酸化炭素の分離、回収、貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)技術の開発が進んでいる。
だが、これだけでは二酸化炭素の排出量が十分には減らない。そこで第3の取り組みとして、二酸化炭素の分離、回収、貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)技術の開発が進んでいる。
CCS技術の基本的な考え方は単純だ。火力発電所から大気中に放出されていた二酸化炭素だけを排ガスから分離・回収し、回収した二酸化炭素を貯留する。
CCSを推進するための法制度の整備ではEUが進んでいる。2009年には地下貯留に関する枠組みを決めたCCS指令を施行している。資金面でも欧州エネルギー復興プログラム(EEPR)を進めており、イタリア、英国、オランダ、スペイン、ドイツ、ポーランドなどでCCS実証プロジェクトが始まっている。
2010年にはNER300と呼ばれる実証プロジェクトが始まった。二酸化炭素のEU排出枠3億トン分を売却することでCCSの実証プロジェクトを支援する動きだ。この実証プロジェクトの目標は高く、2015年末までに貯留を含めた運用開始を義務付けている。
国内では2016年以降に経済産業省が「二酸化炭素削減技術実証試験」を実施予定だ。二酸化炭素の取扱量は10万トン以上。
分離・回収だけではなく、海底下深部塩水帯水層への貯留可能性を探る。
どのように分離・回収するのか
それではCCS技術ではどのように二酸化炭素を取り扱うのだろうか。
分離・回収については3種類の技術がある。
ボイラーで燃料を燃やす前に回収する燃焼前回収、燃焼後に回収する燃焼後回収(図1)、空気と燃料を混合するのではなく、酸素と燃料を混合し、排ガス中の二酸化炭素濃度を80%近くまで高めてから回収する酸素燃焼だ。
燃焼前回収は石炭火力発電を新設する場合に向いている。石炭をそのまま燃やすのではなく、あらかじめガス化炉で水蒸気を加えて、二酸化炭素と水素(H2)に変化させ、ボイラーに送る前に二酸化炭素だけを回収する。
実用化時期に入った石炭ガス化複合発電とも組み合わせやすい。ガス化炉の使用が前提になっているからだ。
燃焼後回収は既存の火力発電所に後から設備を追加する場合に向いている。ただし排ガスに含まれる二酸化炭素の濃度が15%程度と低いため、回収技術が高効率でなければならない。
国内では東芝や三菱重工、新日鉄住金エンジニアリングなど複数のメーカーが分離・回収プラントの大規模化計画を進行中だ。
CCSで最も困難なのは貯留だ。分離・回収した二酸化炭素を大量に運搬し、貯留用の大規模施設を設計、建設、運用しなければならないからだ。
さきほどのEEPRによるCCS実証プロジェクトでは、英国とオランダが海底枯渇ガス田への貯留を狙っている。
イタリアとスペイン、ポーランドは塩水帯水層だ。
日本では貯留可能性の評価が進んでおり、2011年時点では北陸や東北、北関東など10カ所弱の候補地が見つかっている。