カドミウム汚染 復元完了 黒部の農地156ヘクタール 神通川に続き県内終結
2015年2月11日 中日新聞
富山県は十日、亜鉛製錬所からの排煙に含まれていたカドミウムに汚染された黒部市の農地百五十六ヘクタールの復元工事が完了し、十五日に同市内で完工式を開くと発表した。
県内のカドミウム汚染農地は、二〇一二年三月に復元を終えた神通川流域と、今回の黒部市の計二カ所で、これですべての復元工事が完了することになった。
(川田篤志)
県によると、黒部市の土壌汚染は、日鉱亜鉛三日市精錬所(現・JX金属三日市リサイクル)の周辺で発生した。
一九五四年の操業後間もなく、米の黄化や斑点現象が見られ、その後の調査で同所で育った米に基準値以上のカドミウムが検出された。
天然の亜鉛鉱に含まれるカドミウムが煙を通じて土壌に蓄積されたことが原因とされた。
当時、目立った健康被害は確認されなかったという。
県は七三、七四年に同市内の汚染農地を「農用地土壌汚染対策地域」に指定。復元工事は九一年度から始め、汚染土をはぎ取って土を埋め直すなどした。総事業費は百十六億円。
石井隆一知事は十日の定例会見で、県内のカドミウム汚染農地の復元事業がすべて完了したことについて、
「汚染が起きたことは大変残念だが、先人や関係者の尽力で緑豊かな大地に復元できた。この教訓をしっかり次の時代に伝えないといけない」
と決意を表明。黒部地区の復元事業の概要などをまとめた記念誌を計三千部作り、県内の小中学校などに配る考えを明らかにした。