Quantcast
Channel: blog化学
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2255

弁護士・会計士はもう食っていけない?

$
0
0
受験エリートが医学部に殺到!「弁護士・会計士はもう食っていけないから」医者ひとり勝ちの時代、その不幸(上)
                                    
 2015年04月08日(水) 週刊現代    gendai.ismedia.jp
 
頭が良くなきゃ医者にはなれないが、頭がいいからといって医者の仕事が務まるものではない。
 
偏差値が高いからというだけで「とりあえず医者になった」という人に、あなたは命を預けられますか?
 
とりあえず医学部

「いまどき弁護士や会計士になったって、働き口もなければ高収入も望めない。僕は成績もそこそこ良かったんで、目指すなら医学部かなと思って入りました。
いま、うちの大学の同期は100人いますが、『患者を救いたい』というしっかりした志望動機がある人は20%くらいでしょうか
 
30~40%が『親から勧められたから』などと何も考えずに来ている人、残りが、モテたいとか、カネ持ちになりたいというのが目的の人です。医学部を目指す理由なんて、そんなもんですよ」
 
地方の国立大学医学部に通う男性(25)は、あっけらかんとこう話す。「頭がいいからとりあえず医学部」というのは、いまや常識だという。
 
ここ数年、医学部を目指す学生が急増している。文科省が行っている学校基本調査によると、10年前の平成16年度は11万7260人だった医学部への志願者数が、平成26年度には16万2444人。4・5万人近く増加している。
 
次ページのグラフを見てもわかるように、他の学部と比較しても、もっとも志願者数が増えているのが医学部なのだ。
 
イメージ 1昔は、「勝ち組」の職業といえば、弁護士や会計士がその代表格だった。資格を取って事務所を構えれば、年収3000万円超えは当然。そこを目指して、文系学部を志望する学生も多かった。
 
ところが一転して、法学部の志願者数は10年前と比較して6万人も減少
 
 文学部に至っては、マイナス8万人超という有り様だ。以前の花形だった弁護士や会計士を目指す学生は、激減している。

 「昔は司法試験の合格率は3%ほどだったので、受かれば一生安泰の資格でした。ところが司法制度改革によって、法科大学院に通えば3~4割くらいは弁護士になれるようになった。その結果、需要と供給のバランスが崩れ、弁護士は安定した職業ではなくなったのです」
 
(「進路づくり教育」の講師・プランナーなどを務める倉部史記氏)
 
都内の私立大学医学部に通う学生は、医者を目指した理由をこう語る。
 
「弁護士の資格を取ったはいいけど働き口がない、開業しても顧客が取れなくて年収200万円なんて言っている人はいくらでもいる。弁護士はダメだ、なら医者だなと。病気は景気に左右されませんしね」
 
いまの学生たちが仕事を選ぶ際の基準は「リスクが少ない」ことがキーワードになっているという。
 
「弁護士や会計士などの資格を取っても食っていけない、メーカーなどに勤めても、業績が急に悪化することもある。となれば、医者です。リターンも大きいしリスクが少ないと考える人が多いんです」
 
(前出・倉部氏)
 
安定志向の学生たちにとって、「もっとも食いっぱぐれのない魅力的な職業」は、医者一つに絞られている。まさにいま、「医者ひとり勝ちの時代」が到来しているのだ。
たしかに、医師の国家資格を取れば、定年もなく死ぬまで医者として働くことができる。
 
「司法書士や弁護士などは、自己破産すると国家資格が一時停止してしまうのですが、医者は違う。犯罪をおかせば話は別ですが、たとえ病院の経営に失敗して自己破産しても、医師免許が剥奪されることはありません」
 
(医系予備校「進学塾ビッグバン」代表・松原好之氏)
 
医療過疎の地方へ行けば、働き口は確実にある。仕事の内容さえこだわらなければ、食えなくなることはほとんどない。
 
稼げるから医者

しかし、本当に「医者になりさえすれば勝ち組」なのだろうか。天皇陛下の心臓手術の執刀医を務めた順天堂大学医学部心臓血管外科教授の天野篤医師は、「医者ひとり勝ち時代」をこう懸念する。
 
「受験生を教育する人々が『医者になっておけば給料も高いし、食いっぱぐれがないからいいぞ』と言うのは勝手ですが、現場の医者が同じことを言って学生を医学部に誘ったら詐欺に近い。誇大広告ですね。医療関係者は現実の厳しさを知っているから『医者はいいぞ』とは言わないでしょう」
 
 まず、収入については「医師=カネ持ち」という一般的なイメージが強いが、実情はそれほど単純ではない。都内の私立大学病院に勤める40代の内科医が言う。
 
「大学からの給与は600万円ほど。大学の勤務医の場合、講師という肩書でもその程度です。他の病院にバイトに行って必死で働き、ようやく大手企業のサラリーマン程度に稼げる。カネ欲しさに、当直のバイトをする奴もいますが、この年になると体力的にもキツイ。割に合わないですよ」
 
前出の天野医師も
 
「医者がすべて儲けられるわけではない」
 
と話す。
 
「同じ40代の勤務医とトップ50社に入る一部上場企業の社員とで年収を比較したら、勤務医のほうが時給換算した収入は低いのではないでしょうか」
 
開業すれば儲けられるというものでもない。
 
したとしても設備の維持費や人件費がかさむ上、機械の必要のない心療内科などにしても、コンスタントに収入を得るための客(患者)集めは容易でない。医者は皆カネ持ちというのは、現場を知らない人の偏見だという。
 
驚くべき、名医の日常

そもそもの問題として、医者という仕事は「安定した職に就きたい」という程度の甘い考えで務まるものではない。たとえば前出の天野医師の場合、平日は毎日、病院に泊まり込む生活を送っている。
 
「朝は5時半には起きて、朝食は大学構内の自販機のパンやおにぎりを買って食べる。当直に電話して患者さんの様子を確認したり、事務作業をこなします。8時からは、会議や取材を受けたりして、9時頃には手術室に入る。多い日で4件をこなし、合間に会議に出たりもします。昼ごはんはほとんど食べませんね。
 
午後の手術が終わるのは、早くて19時台、遅いと21時頃になる。教授室に戻るとテレビでニュースをチェックするのも日課です。それからシャワーを浴びて、その後、手術記録を書く。そうすると夜中の2時くらいにはなっちゃいますね。1時頃にはカミさんに電話しますが、『今日は帰ってくるの?』とはもう聞かれなくなりました(苦笑)」
 
そうして一日を終えると、 大学の教授室で4時間にも満たない睡眠を取り、翌日がまたスタートする。土曜日は、他の病院での外来や手術、講演などをこなす。今年で60歳を迎えるが、医者になった頃から現在に至るまで、30年以上こうした生活を続けているのだ。
 
天皇の執刀医まで務めた権威ある医師なら、もう少しラクをしてもいいのではないか—そう思う人も多いだろう。なぜそこまで頑張れるのか。その問いに、天野医師はこう答える。
 
「この生活が、僕にとってラクというか自然なんですよね。あとは、年齢を重ねたいま、若い医者たちを預かる立場の上司として何かしてあげたいと思う。医者としての経験を積ませたり、つらいことを少しでも肩代わりしてあげたり。夜中に緊急手術が入っても、病院にいたら疲れている一人の代わりになれますから」
 
患者の命を救うために自分を犠牲にするのは、当然のこと。医師としての実力と地位が上がるほど、「責任」と「仕事量」は増えていく。それをこなす努力をしているからこそ、トップドクターとして活躍し続けられるのだ。逆に言えば、それができないと「本物の医者」にはなれないということで……
 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2255

Trending Articles