天下の東大はGPAは導入していないのですか?GPAなどは大学がする成績評価ではないと考えているのでしょう。まあ東大のおおらかさが評価できますが。
昔の先生はテストの丸ツケが面倒で答案用紙を階段の上からばら撒き、上に残った答案から上位の成績をつけていたとか。今はGPAなどという成績システムで教員の成績評価が面倒になってきました。
東大が「優」成績者を3割に限定 成績評価見直しで「質」を確保
2013/9/18 19:22 j-cast.com
教育改革で大学への「質保証」要請
ベネッセ教育総合研究所・高等教育研究室コンサルタントの村山和生さんによると、大学の成績評価基準の見直しは、
「近年の教育改革のなかで、学生が大学できちんと学んでいるかどうかを示す『質保証』が求められている」
からだという。
大学全入時代を控え、これまで文部科学相の諮問機関である中央教育審議会は、
「教育内容・方法、学修の評価を通じた『質』の管理が緩い」
などと指摘してきた。村山さんは「大学の内部だけでなく文部科学省、経済産業省などの省庁からも『質保証』のニーズあり、社会的な要請となっている」と話す。
「質保証」の先進的な取り組みとしている組織として一橋大学がある。2010年度から、欧米で一般的な成績評価値であるGPA(Grade Point Average)を導入し、卒業条件にする制度をスタート。
GPAは取得した単位の質を表す指標で、一定の数値を下回ると同大学を卒業することができない。入学時だけでなく、卒業時にも高いハードルを課している。
「答案を埋めれば単位はもらえる」
「必ず『優』が取れる楽勝科目」
ひと昔前まで大学の試験にはこんないいかげんさがつきまとっていたようだが、最近の大学は成績評価基準が厳しくなった。毎回出席してきちんと授業を聞き、テストやレポートで一定の結果を出さないと、単位を得られない大学もある。
こうした中、東京大学でも2014年度夏学期から成績評価を見直し、「優」の割合を履修学生の3割に限定する制度を全学部に導入する。
「後期でも優3割すごく困るんですけど…」
成績評価基準を見直す東大 東大は、3・4年生にあたる後期課程で一部学部に適用していた「優3割規定」を全学部に拡大する。学生がつくる「東京大学新聞」(2013年9月17日発行)が報じた。
成績評価基準を見直す東大 東大は、3・4年生にあたる後期課程で一部学部に適用していた「優3割規定」を全学部に拡大する。学生がつくる「東京大学新聞」(2013年9月17日発行)が報じた。
7月9日に行われた教育運営委員会の「学部後期課程教育における成績評価の改善に関する申合せ」で決定したという。
「優」の割合を制限する「優3割規定」は、入学後2年間在籍する前期課程では、すでに導入されており、「原則として優を受験者数の3割程度とする」という申し合わせがある。
だが3・4年にあたる学部後期課程では、一部の学部を除いて成績評価の割合に制限がないため、「優」の学生が何人も出る「楽勝科目」も存在していた。
この件が報道されると、ツイッターで東大生は、
「後期でも優3割すごく困るんですけど…」
「何が後期課程でも優3割だよ死んでくれ本当に死んでくれ」
などとつぶやき、困惑しているようだ。実際、東大文学部出身の20代女性は成績評価基準について、
「文学部は『優3割規定』がないから学部後期課程は楽だった」
と話す。
成績評価基準を変えることで、限られた「優」をめぐる競争心を掻き立てる狙いもありそうだ。
こうした成績評価基準の見直しの流れは、東京大学などの国立大学に限らず、私立大学も含め、ここ5~10年続いている。早稲田大学の政治経済学部では、2005年から成績評価割合をウェブサイトで公開している。慶應義塾大学の総合政策学部・環境情報学部(SFC)も同様で、A、B、C、Dの4段階評価で、特に優秀なものをA(成績上位者20%)とし、
「社会の信頼に値する成績評価の実現をめざして、各教員の個別的な評価だけにたよることなく、すべての科目に下記の評価基準をガイドラインとして設定し、これに則って成績評価が行われています」
という文章を掲載している。
学生には恐怖? 「GPA」、半数近くの大学で
benesse.jp/blog/20110926/p2
実質的な「大学全入時代」を迎えて、大学教育の質をどう保証するかが大きな課題となっています。そのための方策の一つとして、米国の大学で採用されている「グレード・ポイント・アベレージ」(GPA)という仕組みがありますが、文部科学省の調査によると、日本の大学でも、約半数がこのGPA制度を導入していることがわかりました。高校生の50%以上が4年制大学に進学するなか、日本の大学も変わりつつあるようです。
かつて受験競争が全体的に厳しかった時代、日本の大学は「入学するのは難しいが、卒業するのは簡単」と言われていました。つまり、大学入試によって大学生の質が保証されていたということです。
しかし、大学進学率の上昇に伴い、大学の数は、1988(昭和63)年度に490校だったものが、2011(平成23)年度には780校にまで増えました。難関校や人気校などを除いて、大学入試のハードルは全体的に低くなり、さらに学力試験のない推薦入試やAO入試などによる入学者の割合が増加したため、大学入試だけで大学生の質を保証することが困難になってきました。
そこで注目されつつあるのが、「入学するのは簡単だが、卒業するのは難しい」と言われている米国の大学が採用している、GPAという「厳格な成績評価」です。簡単に言えば、各科目の成績を合計して平均点を割り出し、それが基準に満たなかったら進級・卒業させないという仕組みで、ほとんどの科目で一定レベル以上の成績を取ることが厳しく求められます。
文科省の「大学改革状況調査」によると、学部段階でGPAを導入している大学は、2007(平成19)年度295校、08(同20)年度330校、09(同21)年度360校と年々増加しており、国公私立大学全体の49.2%が導入している計算になります。大学生の質をどう保証するのか、大学も真剣に考え始めていることがうかがえます。
しかし、GPAの具体的な運用方法(複数回答)をよく見ると、「学生に対する個別の学修指導で活用している」が269校、「奨学金や授業料免除対象者の選定基準として活用している」が258校などと圧倒的に多く、他は「退学勧告の規準として活用している」45校、「進級判定の規準として活用している」44校、「卒業判定の基準として活用している」35校など、ごく少数にとどまっています。このような背景には、進級・卒業の判定が厳しいと学生が集まらないという大学経営上の事情のほかに、入試で合格させたからには卒業まで学校が責任を持つのが当然という日本人の入試観・学校観もあるようです。
ただ、大学生の質の低下は、企業などでも問題視され始めており、国際的に見ても大きな課題となっています。「入学も卒業も簡単」という大学が増えれば、大学教育の質が保証できなくなり、大学教育の崩壊にもつながりかねません。
GPAが今後、大学生の質の保証方策として実質的に機能するかどうか、注目されるところです。