まあ平和な時代が長く続きましたので地震や戦争の騒乱時代へ突入ということもあるでしょうが、元来の日本人はとても賢いので切り抜けていけるでしょう。切り抜けれないひとも多数いるとは思いますが。ここでも危機意識を持てる人間とそうでないものに二極化でしょう。
日本はいわゆる地球球状四面体の中心点の一つにあたるわけで、その点は恐らく富士山近辺。古来からなんとも地震・噴火は避けられない。怪しげなシュタイナーさんに言わせると他の3点はトルコ周辺、中南米そして南極という。
起こりそうも無い富士山噴火にも備えるべきであろう。新幹線や名神の主要物流ルートの確保をどうするのか等。
特集ワイド:“大地動乱の時代”突入? 口永良部島、小笠原沖、浅間山… 大地震、噴火相次いだ9世紀と酷似
毎日 2015年06月18日 東京夕刊
日本列島がおかしい。5月29日には口永良部島(鹿児島県)で爆発的噴火が起き、翌日には小笠原沖の地下深くで東日本大震災以降最大のマグニチュード(M)8・1の巨大地震が発生し、最大震度5強を記録。今月16日には長野・群馬県境の浅間山で小規模噴火が起きた。
“大地動乱の時代”を迎えたのだろうか。
【石塚孝志】
「地震考古学」という研究分野があると聞き、その第一人者、産業技術総合研究所(産総研)活断層・火山研究部門客員研究員の寒川旭さんに現状をどう見ているのかを尋ねた。すると
「『学問の神様』と呼ばれた菅原道真も地震には悩まされたようです」
と語り始めた。
道真が生きていた時代は9~10世紀の平安時代前期。この時代も今と同じような状況だったのだろうか?
寒川さんは、古文書などの歴史資料を読み解くのと同時に遺跡などの現地調査を行い、大地震の発生時期を調べている。
すると、870年、若い道真が国家の最高試験「方略試(ほうりゃくし)」を受けた時、「地震を弁(わきまえ)よ」と地震が起きる理由を問われたという。
前年(869年)には、三陸沖で東日本大震災と同様の巨大地震で大津波をもたらした貞観地震があった。868年には、播磨国(兵庫県)で大地震が起きている。ちなみに道真の回答。豊富な経典の知識を生かし、海に浮かぶ陸を支える大亀が6万年に1度交代するという中国の故事などを引用して答えたが、「こじつけだ」として厳しい評価を受けたという。
寒川さんは現状をこう見ている。
「9世紀に起きた12の大地震の地域や規模と、近年の大地震はかなり一致します。今は9世紀の状況と酷似しています」
9世紀には、関東や東北地方の内陸で大地震が続いた後に前出の貞観地震が発生。その後、887年に南海トラフでM8級の仁和地震が起きた。
「新旧の日本列島を比べると、9世紀の大地震を示す印のうち、近年の地図にないのは、首都直下地震と南海トラフの巨大地震です。
9世紀とまったく同じように地震が起きるかは分かりませんが、過去から学ぶのも研究。警戒する必要があります」
と話す。
「大震災の影響だと証明するのは難しいが、地震が活発に起きる時代は火山活動も活発になる」
と指摘するのが、火山噴火予知連絡会会長で東京大名誉教授の藤井敏嗣さんだ。実際、口永良部島も震災前から火山活動が活発だった。昨年9月には御嶽山で水蒸気噴火があり、今年4月からは箱根山の火山性地震が増加している。
では、9世紀の火山活動はどうだったのか。
貞観地震の前の864年に、富士山での史上最大規模の貞観噴火が発生した。
この地震の前後には、秋田・山形県境の鳥海山や新潟焼山、伊豆諸島でも新島や神津島、伊豆大島、三宅島で大噴火が起きている。
「約1000年前と同様に噴火が相次ぐのではないか」
という疑問に対し、藤井さんは
「東日本大震災の直後、地殻で何らかの変化が起きている可能性はあり、大規模噴火への警戒は必要です」
と話す。
では、大地震後に周囲で地震活動が活発化するメカニズムはどのようなものなのか。
「連鎖する大地震」(岩波科学ライブラリー)の著者、東北大災害科学国際研究所教授の遠田晋次さん(地震地質学)が説明する。
「大地震が起きると、動いた断層の周辺にひずみが加わり、そこで新たな大地震を誘発する可能性が高くなります。
東日本大震災では、岩手沖から茨城沖の長さ約500キロ、幅約200キロの断層が最大50メートルずれたと推定され、その周囲には新たなひずみが加わりました」
この影響で、大震災翌日には秋田県沖や長野県北部でM6級の地震が発生したほか、首都直下でも地震活動が活発化していると遠田さんは分析している。
東京周辺100キロ四方の地下100キロまでの領域で起きたM3・0以上の地震を解析した結果、震災直後の地震発生頻度は通常の約10倍、その後も2倍程度のペースを保っている。
「口永良部島の噴火は、岩手沖から茨城沖の断層から遠いので関連性は薄いかもしれない。ただ、震災後に東日本の地震や東北地方の火山活動が活発化していることには関連していると思います」(遠田さん)
より長い時間軸で日本列島の動きを見るべきだという意見もある。産総研活断層・火山研究部門の総括研究主幹、山元孝広さんが話す。
「9世紀と同じ状況が繰り返されるというよりも、110もの活火山がある日本で100年近くの間、大規模噴火がなかったのは偶然にすぎません。
巨大地震と富士山噴火との関連にしても、実際に巨大地震後に大噴火があったと判明しているのは、1707年の宝永の大噴火だけです」
さらに「噴火が近いのでは」とむやみに怖がるよりも噴火に備えた対策が進んでいない方が問題と主張する。
「火山灰が東京に降り積もるような大規模噴火があれば、東京湾岸に集中する火力発電所はストップします。国の中枢である首都機能のまひを引き起こす可能性もあり、その影響は計り知れません」
では、大規模噴火の歴史はどうなっているのか。前出の藤井さんの調査結果を見てみよう。
大規模噴火といわれる3億立方メートル以上の噴出物が国内であったのは、江戸時代以降で17世紀4回、18世紀6回、19世紀4回が確認されている。
しかし、20世紀以降は、東京まで火山灰が届いた1914年の桜島大正噴火と、29年の北海道駒ケ岳の2回しかない。
産総研海溝型地震履歴研究グループ主任研究員の行谷佑一さんも
「9世紀以外は地震や火山活動が活発ではなかったとは言い切れないのです」
と指摘する。着目するのが、10世紀から江戸時代までの間は資料が少ないという点だ。
「8~9世紀ごろまでは『日本三代実録』などの国史が編さんされていました。それ以降は京都で暮らした貴族らの日記の記述などが残っていますが、記述のない空白期間も多いという報告もあり、その時期に巨大地震が発生した可能性も捨てきれません」
いずれの研究者にも共通するのは
「戦後しばらく、日本列島の地震、火山活動は静かすぎた」
という認識だ。
将来、発生が予想される南海トラフでの海溝型や首都直下などの大地震、富士山をはじめとした活火山の噴火など大規模災害への備えは万全なのか。
大地の声にしっかりと耳を澄ませたい。
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