本日、鹿島灘で大量のイルカが打ち上げられたが2011年3月6日にも同じ種類のイルカ52頭が打ち上げられた。1週間は注意が必要であろうか。
海山に起因する弱いプレート間カップリングと繰り返し発生するM7級地震との関係
発表雑誌: Mochizuki, K., Yamada, T., Shinohara, M., Yamanaka, Y., and Kanazawa, T., 2008, Weak Interplate Coupling by Seamounts and Repeating M~7 Earthquakes, Science, 321 (#5893).
eri.u-tokyo.ac.jp/people/kimi/Projects/Ibaraki
茨城県沖では、約20年間隔で繰り返し発生するマグニチュード(M)7級地震について、海底地形等から推測して沈み込んだ海山が震源域を形成している可能性が論じられてきた。
我々はこの震源域で地殻構造調査を行い、深さ~10 kmに富士山級の沈み込む海山を同定した。
さらに本海域での地震活動、および1982年7月に発生したM7.0の地震の破壊過程について解析を行った。
その結果、大地震の震源域は海山基底部における応力の集中とともに海山の沈み込む前方に形成され、海山自体が震源域にはならないことが明らかになった。
このことはプレート境界のうち海山部分では、これまでの予測に反して固着強度が弱いという可能性を示している。
一方、その震源域に接した北側には地震活動の非活発帯が存在する。
ここは複数の海山が過去に沈み込んだ痕跡であり、そこに堆積物がたまってプレート間の固着を弱くしているために地震活動が非活発であり、さらにはその南側で発生した大地震のすべりが伝播しなかった可能性があることを示した。
以上のように、本研究では海山の沈み込み及びその痕跡によって、大地震の震源域やその範囲がどのように決定されているかについて、詳細を明らかにすることができた。(2008年8月29日発行のScience誌に掲載)
東北日本列島下には、東側から太平洋プレートが約8.5 cm/年の速さで日本海溝沿いに沈み込んでおり(図1A)、これに伴うプレート境界型地震(※1)の活動も活発である。
三陸沖で発生した大地震に関する最近の研究結果によると、30~40年の間隔で決まった震源域が繰り返し大地震を発生してきたということがわかった。
このように繰り返し震源域となるプレート境界面上の領域はアスペリティと呼ばれ、通常はプレート境界が強く固着しており、ある時に急激に固着が破壊することによって地震波を出すと考えられている場所である。
アスペリティの形成要因の一つとして考えられているのが、沈み込んだ海底地形の凹凸である。海底地形の盛り上がりが沈み込んだ場合、その周囲と比較してプレート境界面に大きな摩擦力が働くと考えられ、固着が強くなりアスペリティを形成すると推測される。
海底地形の凹凸の最も代表的なものに、海山(※2)があげられる。これまでに海山の沈み込みについて行われてきた研究では、大地震と海山の世界的な分布の比較、あるいは物理的シミュレーションによって、海底からの比高~3000 mの海山が沈み込むことによって、M7級の大地震が発生する可能性が予測されていた。
A)日本海溝沿いの海底地形。太平洋プレートは~8.5 cm/年で西南西方向に日本列島下に沈み込んでいる。北緯38度より南には、海山が多く分布する。点線で囲まれた領域を(B)に示す。
(B)茨城県沖の地震活動と構造調査測線。白十字線は2004年、オレンジ線は2005年、マジェンタは海洋開発機構による構造調査測線を(太線は屈折法調査、細線は反射法調査)、六角形は海底地震計の設置位置を表す。丸は1996~2005年の気象庁一元化震源によるM3以上の地震の震央を示す。
黄色の星印は、1982年に発生したM7.0の地震の震央を、緑で囲まれた領域はその地震の余震域(≒震源域)を表す。
その北側の青で囲まれた領域は、地震活動が非活発な領域を示す。黒矢印は海山が沈み込んだために形成されたと考えられる、沈み込み方向に並んだ海底地形の溝を示す。
黒点線は日本海溝軸を表し、海溝軸に接して約20万年前に沈み込みを始めた第一鹿島海山がある。