Kidsの空気アルミ電池(備長炭電池)は1次電池でパワーが強力で大きなモーターも簡単に回転させるが、1回きりである。活性炭、塩水、アルミ箔で簡単にできるのが面白い。
水酸化アルミが沈着し再利用できないのが難点である。
各国で2次電池化が試みられている。
蓄電・発電機器
空気と水とアルミで1600km走る、変わるか電気自動車
itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1406/12/news080
米AlcoaとイスラエルPhinergyは、2014年6月、アルミニウム空気電池で走行する電気自動車を公開した。
金属アルミニウム自体を電気の「缶詰」として利用するため、充電せずに走行する電気自動車となった。
米Alcoa(アルコア)*1)とイスラエルPhinergyは、2014年6月、アルミニウム空気電池を備えた走行可能な電気自動車をカナダのモントリオールにあるサーキットで初公開した。ケベック政府は両社と共同でアルミニウム空気電池の採用に向けて働きかけるという。
両社が共同開発したアルミニウム空気電池は走行可能距離が長いことに特徴がある。約1600kmだ。
通勤などで1日25km乗車するユーザーなら、2カ月以上、そのまま使い続けることが可能だ。
両社は、アルミニウム空気電池を採用することで、電気自動車の航続距離や価格、ライフサイクルコストがガソリン車と同等以上になりうると主張する。
*1) 米Alcoaはアルミニウム製造業として120年以上の歴史があり、世界第3位の規模の企業。アルミニウム精錬法を開発したCharles Martin Hallが設立した。自動車産業とのかかわりも大きい。同社が開発したアルミニウム溶接技術(Alcoa 951)は自動車会社がアルミニウム材料の大量採用に向かった1つの要因だと主張する。
金属アルミニウムが水と反応して水酸化アルミニウムに変化する際に、電流を取り出すことで動作する電池。
アルミニウム1kg当たり最大8kWhの電力量が得られるという。
リチウムイオン蓄電池との最大の相違点は、充電可能かどうかという点だ。両社のアルミニウム空気電池には充電という概念がなく、使い終わったらカートリッジを交換する。
Alcoaによれば、水力発電などの安価な電力を使ってアルミニウムを製造し、電池パネルに加工する。利用後に水酸化アルミニウムを回収し、そのままアルミニウムの原料として再利用するという。
同電池は電気自動車以外にも用途がある。
定置型だ。病院やデータセンターなどさまざまな非常用電池として利用でき、防衛用途にも適するという。使用を開始するまで無制限に貯蔵しておくことができ、水を追加するだけで電力を取り出すことができるためだ。さらにエネルギー密度が高いため、非常時など、初期に対応するための電池としても優れるという。
どのような電池なのか
今回電気自動車に搭載した電池モジュールの寸法や重量は公開されていない。モジュールの推定重量は約50kg。約20cm角のアルミニウムを主成分としたパネル(電池セル)を50枚搭載しており、モジュール全体の長さは100cm近くあるようだ。Alcoaの説明によれば、パネル1枚当たりの走行可能距離は約32km。パネルごとに「ガソリンスタンド」で交換する形を採る可能性もあるとした。
どうやって実現したのか
金属空気電池の概念自体は広く知られている。例えば、空気亜鉛電池は100年の歴史があり、現在でもボタン電池として広く使われている。
空気亜鉛電池の理論容量(重量エネルギー密度)は1.3kWh/kgであり、アルミニウム空気電池が実用化できれば、理論容量にして6倍の容量増を見込むことができる*2)。
*2) リチウム空気電池の理論容量はアルミニウム空気電池のさらに1.4倍と高い。研究開発が進んでいるものの、車載デモが実行できるようなユニットは製作されていない。リチウム空気電池では、充電が可能な蓄電池タイプに取り組む研究者も多い。
Phinergyはアルミニウム空気電池と亜鉛空気電池の研究開発を進めている。同社の説明によれば、アルミニウムを利用した(空気電池ではない)電池は、アルミニウム金属負極と電解質、正極が必要であり、正極が電池重量の70%を占めている。
アルミニウム空気電池は正極を空気と置き換えたため、軽量化できたという。これが金属空気電池の理論容量が高くなる一般的な理由だ。
亜鉛空気電池と比較すると、アルミニウム空気電池には歴史がない。
同社の説明によれば正極(空気極)を多孔質構造にして表面積を確保し、さらに酸素を還元する触媒作用を持たせないといけない。
するとアルミニウムを使い切る以前に正極の寿命が来てしまう。二酸化炭素などが正極に悪影響を及ぼすためだ。同社は銀ベースの新触媒を開発することで、寿命を数千時間に延ばすことに成功したという。寿命が長いだけでなく、電気化学的な性能が高く、機械的な構造に柔軟性があり、リサイクルもしやすいという。
今回のアルミニウム空気電池は、AlcoaとPhinergyが2014年2月に発表した協業の初の成果だ。両社はアルミニウム空気電池の材料の他、製造プロセスや製品化について協業している。
世界初!アルミニウム - 空気電池の二次電池化を実現
冨士色素株式会社
冨士色素株式会社(本社:兵庫県川西市、取締役社長:森 史郎、常務取締役:森 良平)は、金属 - 空気電池の1つであるアルミニウム - 空気電池を初の二次電池化実現に成功致しました。
【研究の背景】
近年、地球温暖化問題や、原油価格上昇などを背景に、自動車のエネルギー源などを電気エネルギーに転換していくことが注目されています。しかし、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池は、電気自動車やスマートグリッドに必要となる高性能の蓄電機能としてはエネルギー密度が不足しています。
我々は金属 - 空気電池の中で、最も材料として扱いやすく、安価なアルミニウムに注目しました。
アルミニウムは、他の二次電池の金属材料の候補と比較し、資源量も豊富です。また、二次電池として最高といわれるリチウム - 空気電池に次ぐ2番目の理論値容量があります(リチウム - 空気電池:11400Wh/Kg、アルミニウム - 空気電池:8100Wh/Kg)。
【研究のポイント】
1.資源的に豊富で安価なアルミニウムを電極材料とした新型蓄電池
2.リチウムなどの空気に酸化されやすく不安定な物質は一切使わないので、空気中で安定に作動し、また空気中で製造も可能
3.全ての材料が空気中で安定しているので非常に安全であり、リチウムイオン電池などのように爆発や燃焼する心配がない
4.理論的には二次電池として最高といわれるリチウム - 空気電池に次ぐ2番目の理論値容量がある
(リチウム - 空気電池:11400Wh/Kg アルミニウム - 空気電池:8100Wh/Kg)
【研究内容】
本研究で作成されたアルミニウム - 空気電池の電池構造は、負極としてアルミニウム金属板を、電解液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて、負極と正極である空気極と電解液の間に酸化物から構成されるアルミニウムイオン伝導体(タングステン酸アルミニウム)を組み合わせます。
このアルミニウム - 空気二次電池を空気中で0.2mA/cm-2の放電レートで放電すると、初期放電容量は5.3mAh/cm-2となりました。
また、30回目の放電容量も約4.4mAh/cm-2となり、放電容量が8割以上維持されているのでアルミニウム - 空気電池が二次電池として機能できることが証明されました。
現在までのアルミニウム - 空気電池は全て放電1回で使い切りの一次電池であり、二次電池として機能できることが証明されたのは世界初です。
電解質が水酸化ナトリウムの水溶液であり、他の電池構成部材も安価で安全なものであり、リチウムイオン電池などのように爆発や燃焼したりする心配が全くありません。また現在のリチウムイオン電池より安価に製造できます。
この成果は、2013年8月に英国王立化学会の学術誌RSC Advancesにオンライン掲載されました。(RSC Advances,2013,3,11547-11551)
【今後の課題】
電解液が蒸発しない構造に設計しましたが、実際は作成したアルミニウムイオン伝導体の酸化物の多孔性が原因で、実験中も電解液の補充が必要でした。電解液の蒸発の問題は今後クリアしていかなければならない課題です。
【今後の予定】
森 良平博士が今回開発した新しい構造の新型「アルミニウム - 空気二次電池」は1週間の充放電が可能でした。
今後は電解液をより安全で安価なNaCl、つまり塩水などを使用して検討する予定です。
またより伝導度の高いアルミニウムイオン伝導性を有するアルミニウムイオン伝導体なども使用してみます。そしてさらなる充放電時間の延長、容量の大型化を目指す予定です。